トランプ政権、SNAP一部支給を発表　大統領の裁判無視脅迫から数時間後の転換

2025年11月4日、トランプ大統領がソーシャルメディアで「SNAP（食料支援プログラム）給付は民主党が政府を再開するまで行わない」と投稿し、連邦裁判所の命令に逆らう姿勢を示した直後、ホワイトハウスは「裁判所命令に完全に準拠し、11月分の一部給付を実施する」と発表しました。この急転換は、約4200万人の低所得者層に深刻な影響を及ぼす可能性があった食料支援の混乱を回避する一方で、政府閉鎖の長期化による政治的対立を浮き彫りにしています。

事件の経緯：裁判所が緊急基金の使用を命じる

米国政府閉鎖（2025年10月1日開始、35日超）は、SNAPの通常予算を枯渇させました。農業省（USDA）は当初「11月給付は不可能」と主張しましたが、ロードアイランド連邦地裁のジョン・J・マコーネル判事とマサチューセッツ連邦地裁の2裁判官が10月31日・11月1日に「緊急 contingency fund（約46.5億ドル）の即時使用」を命じました。これにより、通常月額約80億ドルの給付のうち一部（約50%）をカバー可能と判断されました。

トランプ大統領の脅迫投稿（11月4日午前）

大統領はTruth Socialで次のように投稿：

SNAP BENEFITS… will be given only when the Radical Left Democrats open up government, which they can easily do, and not before!

これは裁判所命令に明確に違反する発言で、原告団（25州・都市・NPO）は直ちに「政治的理由で給付を人質にしている」と追加訴訟を提起。民主党議員や反飢餓団体は「違法で非人道的」と非難しました。

ホワイトハウス報道官の訂正（同日午後）

カロライン・リーヴィット報道官はブリーフィングで：

「大統領と直接話した。裁判所命令に完全に準拠する」
「USDAは本日朝、州へ部分給付の計算ガイドを発行済み」
「民主党が政府を再開すれば全額即時支給可能」

と明言。部分給付は「世帯当たり通常額の50%」で、支給遅延は「数週間～数カ月」と警告しました。

支給内容と遅延の詳細

項目	内容
基金	SNAP contingency fund 全額46.5億ドル
支給率	通常月額の50%（平均世帯月額約350ドルの半額）
対象者	約4200万人（子供・高齢者が多数）
開始目安	州システム改修のため数週間遅延（最悪数カ月）
全額復活条件	政府再開後、自動的に遡及補填

USDAは11月4日朝、州へ「減額計算表」を配布済み。一部州は独自資金で穴埋めを検討しています。

今後の裁判動向

原告団は11月4日、「全額支給と即時執行」を求める緊急動議を提出。マコーネル判事は11月6日（木）に公聴会を予定。トランプ政権は「児童栄養プログラム予算を守るため追加基金は使用しない」と主張していますが、判事は「利用可能」と指摘済みです。

受給者・支援団体への影響

全米のフードバンクは既に在庫逼迫。部分給付でも「子供の学校給食との重複で飢餓リスク増大」と警告。民主党は「大統領の発言は受給者を恐怖に陥れた」と批判し、即時政府再開を求めています。