高校授業料無償化:自民・維新合意の概要と東京都・大阪府の先行事例

高校授業料無償化、自民と維新が正式合意について

2025年10月29日、自民党、日本維新の会、公明党の3党は、高校授業料無償化に関する実務者協議を国会内で開催し、具体的な制度案について正式に合意しました。この合意は、2026年度からの私立高校生に対する就学支援金の所得制限撤廃を柱とし、教育機会の均等化を目指すものです。以下では、合意の概要、詳細な内容、背景、財源確保の課題について、詳しく紹介します。現在(2025年11月時点)、全国的に公立高校の授業料は所得制限なしで実質無償化されていますが、一部の都道府県では私立高校についても独自の支援により所得制限なしで授業料が無償化(または大幅軽減)されています。

合意の概要

3党の合意では、高校の授業料無償化を2026年度から開始することを決定しました。主なポイントは以下の通りです。

  • 私立高校全日制の就学支援金支給上限を、現在の39万6,000円から45万7,000円に引き上げ。
  • 私立高校通信制の支給上限を33万7,000円に設定。
  • 所得制限の完全撤廃により、対象世帯を拡大。公明党の報道によると、約170万人の高校生が対象となります。
  • 実施後3年程度で制度の効果を検証し、必要に応じて見直しを実施。

3党の実務者レベルでの文書署名により正式化されました。

対象と除外規定

支援の対象は主に日本国籍の生徒とし、留学生など日本への定着が見込めない外国籍の生徒は対象外とします。これは、支援の趣旨が国内の教育機会均等にあるためです。NHKの報道では、外国籍生徒の扱いについて有識者からの聴き取りを行い、具体的な支給対象校の決定を骨太の方針以降に詰める方針が示されています。

また、私立高校による授業料の便乗値上げを防ぐため、対策を講じない都道府県に対しては、国からの私学助成金の補助金を減額する仕組みを導入します。これにより、地方自治体の責任を強化する狙いがあります。

都道府県独自の無償化実施状況

国の制度に先駆けて、一部の都道府県では私立高校を含む授業料無償化を独自に実施しており、所得制限なしで家計負担を軽減しています。2025年11月時点の主な実施状況は以下の通りです。これらは国制度と併用可能で、対象拡大に寄与しています。

都道府県 実施内容 対象学年・開始年度 支給上限額(年額)
東京都 私立高校授業料の所得制限なし支援(国支援金と併用) 全学年(2010年開始、2025年度上限49万円) 最大49万円(全日制・定時制)
大阪府 私立高校授業料の段階的無償化、所得制限撤廃 2024年度高3から、2025年度高2・3、2026年度全学年 授業料全額(上限63万円)

これらの自治体では、すでに私立高校の授業料が実質無償化されており、2026年度の国制度拡大により全国的な均一化が期待されます。他の都道府県でも独自支援を検討中ですが、詳細は各自治体教育委員会の最新情報を確認してください。

背景とこれまでの経緯

この合意は、2025年度予算案の修正をめぐる3党の党首会談に端を発します。2月25日、石破茂首相(自民党総裁)、斉藤鉄夫公明党代表、吉村洋文日本維新の会代表が国会内で会談し、教育無償化を含む合意文書に署名しました。当初予算案の修正は29年ぶりの措置で、自民・公明の少数与党体制下で維新の協力を得るための重要な一歩となりました。

その後、6月11日には社会保険料引き下げと併せて高校無償化の実現策で正式合意し、骨太の方針に反映。6月24日には論点整理をまとめ、所得制限撤廃の懸念点(高所得世帯での塾費用転用など)への対応を議論しました。

日本維新の会は長年、高校無償化を公約に掲げており、石破政権の少数与党化がこの合意を後押しした形です。X(旧Twitter)上でも、合意直後に「教育費の税負担化反対」などの意見が投稿されており、社会的な関心の高さがうかがえます。

財源確保と今後の課題

授業料以外の支援を含む総額で約6,000億円の財源が必要と見込まれています。自民党の柴山昌彦元文部科学相は、税制による対応を含めた恒久財源の確保が不可欠と述べています。今後、与野党6党による協議を進め、2026年度実施に向けた法改正を予定。

課題として、高所得世帯への支援の妥当性や公立高校への影響が指摘されていますが、3党は検証メカニズムを設けることで対応を図ります。

まとめ

この合意は、3党の協力により教育政策の前進を示すもので、2026年度からの高校授業料無償化実現に向けた重要なステップです。詳細は今後の国会審議で確定しますが、対象拡大による家計負担軽減が期待されます。情報は2025年11月1日時点の報道に基づきます。