自民・維新連立協議:閣外協力で議員定数削減は絶対条件

日本維新の会と自民党の連立政権樹立に向けた動き

2025年10月19日現在、日本維新の会(以下、維新)は自民党の高市早苗総裁率いる政権との連立政権樹立に向けた協議を急ピッチで進めています。この背景には、臨時国会での首相指名選挙を控え、自民党が安定多数を確保するための与党再編があります。維新は当初、立憲民主党や国民民主党との野党協議に参加していましたが、10月17日頃にこれを離脱し、自民党との政策協議にシフト。20日にも連立合意書の署名が予定されており、高市総裁の首相就任が事実上確実視されています。

維新の立場は、閣僚ポストの提供を伴う「閣内協力」ではなく、閣僚を出さずに政策実現を支える「閣外協力」を強く主張しています。これにより、与党経験の少ない維新議員が国会運営の矢面に立たず、リスクを最小限に抑えつつ、自民党の政権運営を後押しする形となります。吉村洋文代表(大阪府知事)は、閣外協力の可能性を「検討中」と述べ、党内の慎重論を反映しています。この協力形態は、維新の「身を切る改革」を推進するための戦略的な選択と言えます。

閣外協力のメリットと維新の戦略

閣外協力とは、連立政権に参加せず、閣僚を送らないものの、議会での賛成票を提供し、政策実現を支援する形態です。維新にとってのメリットは以下の通りです

  • リスク回避:国政与党経験の乏しい維新は、閣僚就任による国会質疑での失態を避けられます。日経新聞の報道によると、維新幹部は「党内に両論あるが、閣外協力を求める声が目立つ」と語っています。
  • 政策実現の柔軟性:閣外協力により、自民党の姿勢を注視しながら、要求政策の実行を迫れます。特に、企業・団体献金の廃止のような合意しにくい項目を棚上げし、実現しやすい政策に焦点を当てる余地が生まれます。
  • 支持基盤の維持:自民党との密接な結びつきを避け、大阪中心の地域主義を保ちつつ、全国的な改革イメージをアピールできます。「閣外協力で政策実現に専念するのは良い」との声が見られます。

この戦略は、維新の「改革政党」としてのアイデンティティを損なわず、少数与党の自民党を支えることで影響力を高める狙いがあります。高市総裁側も、維新の遠藤敬国対委員長を首相補佐官(内政担当)に起用する案を調整中と報じられており、協力の具体化が進んでいます。

議員定数削減を「絶対条件」に入れた背景と内容

維新は連立政権樹立の条件として、国会議員の定数削減を「絶対条件」に位置づけています。これは当初の2条件(副首都構想、社会保障改革)から急遽追加されたもので、16日夜以降に強調が強まりました。吉村代表は17日のフジテレビ番組で、「大幅な議員定数削減を自民党が『本気でやる』と言えるかどうか。ここが改革のセンターピンだ」と述べ、12月中の関連法成立を求めています。受け入れられなければ、首相指名選挙での高市総裁支持を見送る可能性も示唆しています。

この条件の追加は、維新の「身を切る改革」の象徴として位置づけられ、政治資金改革(企業・団体献金廃止)の合意難航を回避するための論点ずらしとの指摘もあります。東京新聞の分析では、「自民との歩み寄りが困難な献金廃止から目を逸らす思惑が透ける」とされています。一方、自民党は比例代表を中心に削減を受け入れる方向で、維新の要求に応じる姿勢を示しています。

議員定数削減の具体的内容と影響

維新の提案する削減規模は、国会議員総定数(衆参465+248=713)の約1割、具体的には衆議院比例代表の50議席減です。対象は主に比例区で、選挙区の定数は維持する方向です。年内成立を目指し、臨時国会での法案提出が予定されています。

項目 詳細 影響
削減対象 衆議院比例代表(主) 小政党(参政党、保守系)の議席減少リスク。1議席確保が難しくなる可能性。
削減規模 約50議席(1割) 財政負担軽減(約100億円/年)。ただし、選挙制度の不平等を生む懸念も。
実現スケジュール 12月中法成立、2026年衆院選反映 維新の支持層にアピール。過去の民主党時代以来の大幅改革。

この改革は、維新の看板政策「身を切る改革」の一環で、国民の政治不信解消を狙っています。しかし、東京新聞の指摘のように、「不平等を生む側面」もあり、比例代表中心の削減が小政党の存続を脅かす恐れがあります。X上では、「議員定数削減は慎重に」との意見も散見されますが、維新支持層からは「改革の本質」との賛同が強いです。

今後の展望と課題

自民・維新の連立は、20日の合意書署名で高市政権の基盤を固めますが、閣外協力の継続可能性や、追加条件(食品消費税ゼロ化、副首都構想)の実行度が鍵となります。維新は自民の「本気度」を試す形で協議を進め、合意後も野党的な監視役を担う可能性が高いです。

この連立は、日本政治の新秩序を形成する一方で、献金規制の棚上げが「改革の後退」との声も。国民の目が注がれる中、維新の「絶対条件」が真の成果を生むかが注目されます。