オンラインカジノ規制の改正法が施行、広告も全面禁止:違法性への対応

オンラインカジノ規制の改正法が施行
オンラインカジノ利用の違法性とリスク

オンラインカジノ規制の改正法が施行:背景と概要

2025年9月25日、日本においてオンラインカジノの規制を強化するための重要な法改正が施行されました。この改正法は、「ギャンブル等依存症対策基本法の一部を改正する法律」(以下、改正法)として知られ、オンラインカジノの利用拡大とそれに伴う社会問題に対処するためのものです。近年、海外運営のオンラインカジノサイトが日本国内で急増し、利用者による賭博罪の検挙事例が相次いでいます。警察庁の調査によると、2024年中だけで279人が検挙され、年間市場規模は約1兆2,423億円に上ると推計されています。このような状況を受け、政府・与野党は規制強化を急ぎ、2025年6月18日に参議院本会議で可決・成立し、同月25日に公布されました。

改正法の成立経緯

改正法の議論は、2024年9月に設置された関係省庁連絡会議から本格化しました。2025年3月には、政府が「ギャンブル依存症対策推進基本計画」を変更し、オンラインカジノの違法性周知と取り締まり強化を柱とする方針を閣議決定。自民党を中心に治安・テロ・サイバー犯罪対策調査会で改正案がまとめられ、衆議院では6月3日に本会議で可決されました。参議院でも与野党の賛成多数(自民党、立憲民主党、日本維新の会、公明党、国民民主党、共産党など)で成立。一方、れいわ新選組は罰則規定の不在を理由に反対しました。

施行の意義と影響

施行日である9月25日から、オンラインカジノ関連の行為が明確に禁止され、国民への周知義務が国・自治体に課せられます。これにより、若年層の利用抑制や依存症予防が期待されますが、罰則がないため実効性への懸念も指摘されています。利用者の平均借金額は2,000万円を超えるケースもあり、精神的な被害が深刻化しています。今後、教育・広報活動の強化が鍵となります。

改正法の主な内容と禁止行為

改正法は、オンラインカジノの開設・運営だけでなく、ネット上での誘導行為を対象とし、違法性を明確化しています。主な禁止事項は以下の通りです。

オンラインカジノサイトの開設・運営の禁止

国内で不特定の者に対し、オンラインカジノを含む違法オンラインギャンブルを提供するウェブサイトやアプリ(プログラム)を提示する行為が禁止されます。海外運営のサイトであっても、日本国内からのアクセスを助長する行為は対象です。これにより、国内サーバーを使ったサイト運営が明確に違法となります。

広告・宣伝・誘導行為の禁止

SNS、ブログ、広告などでオンラインカジノサイトへの誘導情報を発信する行為が禁じられます。具体例として

  • SNS投稿でサイトリンクを貼り付ける
  • 「○○カジノ 登録はこちら」などの勧誘文言を使う
  • アフィリエイトによる報酬を得る紹介行為
  • アプリストアへの掲載やまとめサイトの作成

これらの行為は、賭博幇助罪に該当する可能性もあり、通信事業者への削除要請が容易になる仕組みが導入されました。

オンラインカジノ利用の違法性とリスク

改正法施行前から、オンラインカジノの利用は刑法の賭博罪(単純賭博罪:50万円以下の罰金または科料、常習賭博罪:3年以下の懲役)に該当します。海外で合法的に運営されているサイトでも、日本国内から接続してプレイすれば犯罪です。2025年に入り、芸能人やプロ野球選手の摘発事例が相次ぎ、社会問題化しています。

検挙事例とバレるケース

警察庁によると、2022年59人、2023年107人、2024年279人と検挙数が急増。バレる主なケースは

  • 決済記録(クレジットカード会社からの通報)
  • SNS投稿や知人からの通報
  • アフィリエイターの摘発連鎖
  • 依存症による借金相談時の発覚

無料版やボーナス利用でも違法です。カード会社は多くが利用を禁止しており、規約違反となります。

依存症と社会的な影響

利用者の多くが若年層で、ゲーム感覚で始まるケースが目立ちます。改正法は周知義務を定め、家庭・学校・職場での教育を推進。相談窓口の活用を推奨しますが、違法性の強調が相談を遠ざけるリスクも指摘されています。政府は、決済代行業者やアフィリエイターへの取り締まりを強化します。

今後の展望と注意点

改正法は第一歩ですが、罰則追加や国際協力の強化が求められます。企業は取引先の関与をチェックし、レピュテーションリスクを避けるべきです。個人は、誤った情報(「グレーゾーン」など)に惑わされず、違法性を認識しましょう。万一利用してしまった場合、早期に弁護士相談を推奨します。この施行により、より安全なネット環境が実現することを期待します。