円高での株価
円高時に株価が上昇する銘柄は、主に輸入関連企業や為替変動の影響を受けにくい内需企業、旅行・航空関連企業などと言われています。もちろん株価は他の要因により影響も受けますのであくまでも円高時に注目されやすい銘柄と考えておくのが良いと思います
輸入関連企業
円高は海外からの輸入コストを下げるため、原材料や商品を輸入に頼る企業にとって利益向上が期待されます。
- ニトリホールディングス(9843):家具・インテリアの大手。海外(特にアジア)で生産された自社商品を輸入しており、円高で仕入れコストが低下。過去の円高局面でも株価が堅調に推移した実績があり、円高メリット銘柄の代表格。
- ABCマート(2670):靴専門店チェーン。売上の約2割が海外から輸入される自社企画商品で、ドル建て決済が多い。円高により輸入コストが減少し、利益率向上が期待される。
- 神戸物産(3038):業務スーパーを展開。輸入食品や原材料を多く扱い、円高で仕入れコストが下がるため、業績向上が見込まれる。
食品・製粉関連企業
食品業界では、原材料(小麦、大豆、トウモロコシなど)を輸入に依存する企業が円高の恩恵を受けます。
- 日清製粉グループ本社(2002):即席麺や小麦粉製品の最大手。小麦やパーム油など輸入原材料のコストが円高で低下し、利益拡大が期待される。長期的に株価上昇傾向。
- ニチレイ(2871):冷凍食品の大手。輸入食材を使用する製品が多く、円高でコスト削減が可能。安定した需要も支え。
- マルハニチロ(1333):水産加工食品を扱う。輸入原料のコスト減が利益に寄与し、円高局面で注目されやすい。
石油・ガス・電力関連企業
エネルギー資源を輸入に頼る企業は、円高で仕入れコストが低下し、利益率が向上します。
- 東京ガス(9531):液化天然ガス(LNG)の輸入コストが円高で減少し、収益改善が見込まれる。内需中心の事業で為替影響も限定的。
- ENEOSホールディングス(5020):石油精製大手。原油輸入コストの低下が利益に直結。円高時に株価が底堅い傾向。
- 大阪ガス(9532):LNG輸入に依存。円高で原料コストが下がり、業績へのプラス効果が大きい。
旅行・航空関連企業
円高は海外旅行の費用を抑え、旅行需要を喚起するため、関連企業にメリットをもたらします。
- エイチ・アイ・エス(9603):旅行代理店。円高で海外旅行が割安になり、需要増加が期待される。また、燃料コストの低下もプラス。
- ANAホールディングス(9202):航空会社。円高で航空燃料の輸入コストが減少し、海外旅行需要の増加も追い風。
紙・パルプ関連企業
原材料を輸入する紙・パルプ業界も円高の恩恵を受けます。
- 日本製紙(3863):紙・パルプの国内大手。輸入木材やパルプのコスト低下が利益に寄与。内需中心で為替影響がプラスに働きやすい。
- レンゴー(3947):段ボール製造。輸入原料のコスト減が収益を押し上げる。
内需・為替影響が小さい企業
輸出入に依存しない内需企業や為替影響を受けにくい業種も、円高時に相対的に安定します。
- ワークマン(7564):作業服・アウトドア衣料の専門店。中国や東南アジアで生産された商品を輸入し、円高でコスト削減が可能。
- 良品計画(7453):無印良品を展開。海外生産の商品が多く、円高で仕入れコストが低下。内需中心の安定した需要も魅力。
- セリア(2782):100円ショップ。輸入雑貨のコスト低下が利益に寄与し、ディフェンシブな特性も持つ。
その他の注目銘柄
円高メリットに加え、高ROEや成長期待のある銘柄も過去の円高局面で上昇傾向を示しています。
- パルグループホールディングス(2726):アパレル小売。「3コインズ」など内需向けブランドが強く、輸入商品のコスト減がプラス。
- 信越化学工業(4063):化学品メーカー。為替影響が限定的で、高ROEと安定成長が円高時に注目される要因。
注意点
円高は日本株全体にとって株安圧力となる場合が多いため、円高メリット銘柄でも市場環境や個別企業の業績を注視する必要があります。また、為替予約などで円高効果が薄れる企業もあるため、最新の決算情報や為替感応度を確認することが重要です。
以上、円高時に株価上昇が期待される銘柄を業種別に紹介しました。これらの銘柄は、円高によるコスト削減や需要増加の恩恵を受けやすく、投資の参考になる可能性があります。
企業一覧
ニトリ/ABCマート/神戸物産/日清製粉/ニチレイ/マルハニチロ/東京ガス/ENEOS/大阪ガス/HIS/ANA/日本製紙/レンゴー/ワークマン/良品計画/セリア/パルグループ/信越化学工業