味の素と日本板硝子が揃ってストップ安
2025年11月7日の東京株式市場で、味の素(2802)と日本板硝子(5202)の2銘柄が制限値幅の下限(ストップ安)まで売られ、投資家の注目を集めました。両社とも前日6日に上半期決算を発表しており、内容が市場予想を下回ったことが主な売り材料となっています。
味の素(2802)のストップ安要因
味の素は6日、2026年3月期第2四半期(4-9月)の連結決算(IFRS)を発表。売上高は7,388億円(前年同期比0.7%減)、事業利益は867億円(同0.2%減)と微減に転じました。特に7-9月単期では、事業利益が前年同期比10%減、親会社帰属純利益が同27.5%減の190億円と大幅減益となりました。
- 食品事業の苦戦:調味料・食品や冷凍食品の販売が低調。国内消費者の節約志向や天候不順による外食需要の減少が影響。
- 通期計画のハードル上昇:通期事業利益1,800億円(前期比13%増)の据え置きに対し、上半期進捗率は48.2%。市場コンセンサス(経常利益909億円、当期利益628億円)を大幅に下回る水準で、「達成困難」との警戒感が広がった。
- 自社株買い発表も無視:今期2度目となる最大800億円(発行済み株式3.09%)の自社株買いを発表したが、決算失望が勝り株価支援材料とはならず。
寄り付きから売り気配が続き、12時50分時点で前日比700円(16.19%)安の3,623円ストップ安気配。東証プライム値下がり率上位にランクインしました。
日本板硝子(5202)のストップ安要因
日本板硝子は6日、2026年3月期第2四半期(4-9月)の連結業績予想を発表。売上収益4,200億円(前年同期比微減)、親会社帰属利益は30億円の赤字(前年は黒字)と大幅悪化を見込みました。欧州建築用ガラス需要の回復遅れと原燃料高が直撃し、市場予想を大きく下回る内容です。
- 欧州事業の不振:建築用ガラス販売が低迷。景気回復の遅れで需要が想定を下回り、固定費負担が重くのしかかる。
- 通期赤字転落リスク:2月発表の通期最終赤字170億円予想をさらに悪化させる懸念。自動車用・高機能ガラスは堅調も、建築用が足を引っ張る構造は変わらず。
- 資金制約の表面化:20年前のピルキントン買収に伴う優先株配当義務(年65億円相当)が現預金を拘束。売却を検討した自動車用ガラス事業の撤退計画も先送りとなり、構造改革の遅れが嫌気された。
寄り付きから売り優勢となり、午前中にはストップ安水準に張り付き。出来高は前日の10倍超に膨らみました。
両社に共通する市場環境
7日の日経平均は607円安と大幅続落。円高進行や米大統領選後の不透明感がリスクオフムードを助長し、決算内容が期待外れだった大型株に売りが集中しました。味の素・日本板硝子とも「コンセンサス下振れ」「通期ハードル高」の典型例として、アルゴリズム売買や機関投資家の益出しが加速した形です。
今後の注目ポイント
- 味の素:10-3月期にヘルスケア等セグメント(機能性素材)の伸長で巻き返せるか。800億円自社株買いの取得進捗も株価支援材料。
- 日本板硝子:欧州景気指標と原材料価格の推移。自動車用ガラス撤退計画の再検討が構造改革の鍵。
どちらも短期的な戻りは限定的ですが、決算ショック一巡後の押し目買いチャンスとなる可能性もあります。投資判断は最新のIR資料と市場動向を必ずご確認ください。
