国税庁が2024年度税務調査実績公開!キャバクラが申告漏れ1位に

国税庁が発表した「令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」

2025年12月11日、国税庁は「令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」を発表しました。この資料は、令和6事務年度(2024年4月から2025年3月まで)の税務調査の実績をまとめたもので、所得税と消費税(個人事業者分)を対象とした調査の件数、非違件数、申告漏れ所得金額、追徴税額などを詳細に記載しています。以下では、主な内容をカテゴリ別に紹介します。

令和6事務年度における所得税及び消費税調査等の状況

全体の概要

所得税の調査等合計件数は73万6千件(前事務年度比121.7%増)で、非違件数は36万9千件(同118.5%増)、申告漏れ所得金額は9,317億円(同93.5%減)、追徴税額は1,431億円(同102.4%増、過去最高)でした。一方、消費税(個人事業者)の調査等合計件数は18万5千件(同153.7%増)、非違件数は10万1千件(同130.7%増)、追徴税額は421億円(同99.5%減)となっています。

事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種

実地調査(特別・一般・着眼調査の合計)において、事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種は以下のとおりです(国税庁公表資料より)。

順位 業種 1件当たりの
申告漏れ所得金額
(万円)
1件当たりの
追徴税額(含加算税)
(万円)
前年順位
1 キャバクラ 4,164 1,474
2 眼科医 3,894 964
3 ホステス・ホスト 2,968 475 2
4 経営コンサルタント 2,734 878 1
5 太陽光発電 2,142 757 7
6 バー 1,968 425 12
7 コンテンツ配信 1,936 462 3
8 ブリーダー 1,876 498 5
9 スナック 1,873 353 9
10 システムエンジニア 1,631 287 17

注目点として、キャバクラが前年圏外から一気に1位となり、1件当たり申告漏れ所得金額は4,164万円に達しました。また眼科医が2位に急上昇し、医療業の高額申告漏れが目立つ結果となっています。風営関連業種(キャバクラ、ホステス・ホスト、バー、スナック)が4業種ランクインしている点も特徴的です。

無申告者に対する調査の強化

国税庁は、無申告について「申告納税制度の下で自発的に適正な納税をしている納税者に強い不公平感をもたらすこととなるため、的確かつ厳格に対応していく必要があります」との基本姿勢を明確に示しています。

こうした無申告者に対しては、あらゆる機会を通じて資料情報の収集及び活用を図るなどして、実地調査のみならず、簡易な接触も活用し積極的に調査を実施しています。

その結果、令和6事務年度においては:

  • 所得税無申告者に対する実地調査による追徴税額の総額は252億円(過去最高)
  • 1件当たりの追徴税額は524万円(過去最高)
  • 消費税無申告者に対する実地調査による1件当たりの追徴税額は296万円(過去最高)

無申告への対応が年々厳格化・効率化されていることが数字からも明確に表れています。

その他の主なポイント(抜粋)

  • 所得税の実地調査における1件当たりの申告漏れ所得金額:約1,235万円(前年比約1.6倍)
  • 富裕層に対する調査:1件当たり申告漏れ所得金額3,449万円(全体の約2.8倍)
  • 海外投資を行っている個人:1件当たり申告漏れ所得金額3,459万円
  • 暗号資産取引:1件当たり申告漏れ所得金額2,538万円

まとめ

令和6事務年度の税務調査は、「高額・悪質・無申告」に重点を置いた効率的かつ厳格な執行が特徴です。

キャバクラや眼科医といった特定業種での巨額申告漏れ、無申告者に対する過去最高の追徴実績、富裕層・海外投資・暗号資産への的確な対応など、国税庁がデータと資料情報を駆使して不正を見逃さない姿勢を強く打ち出しています。

今後もこの傾向は続くとみられ、特に上位業種や無申告リスクの高い分野では、適正申告の徹底が一層求められることになるでしょう。

詳細は国税庁公式サイトで公開されている資料をご確認ください。